【事業内容について】
Q:今日はよろしくお願いします。まず、今どんな事業をされているのか教えていただけますか。
A: よろしくお願いします。今は主にメダカの養殖と販売をしています。もともと魚が好きで、軽い気持ちでメダカを飼い始めたのがきっかけなのですが、気づけば事業として成り立つほどになりました。
それに加えて、山菜を採ってきて販売したり、最近はコケテラリウムの販売も始めました。販売は主に「道の駅どんぐりの里いなぶ」です。人が多く集まる場所なので、メダカもよく売れるんですよ。


Q:最初から道の駅で売れる手応えはあったんですか。
A: いえ、最初は「そんなに売れるわけないだろう」と思っていました(笑)。でも実際に出荷してみると、思った以上に手に取ってくださる方が多くて驚きました。
最初はミックスメダカを12匹1000円くらいで販売していたのですが、徐々に「いなぶめだか」という名前を覚えてくださる方が増えて、今ではわざわざその名前を目当てに遠方から買いに来てくださる方もいます。
Q:名前が広まった背景には、SNSの発信も大きかったとか。
A: そうですね。インスタグラムで毎日リール動画を投稿しているのですが、それが大きかったと思います。メダカの様子だけじゃなくて、両親が作業している姿も載せているんです。
すると、意外にも両親の動画のほうが再生されることが多くて(笑)。コメントを見ると「自分の親を思い出す」とか「こんなふうに働く姿が素敵」といった声が多くて、50代前後の方がよく見てくださっている印象です。
Q:ご両親の姿が信頼につながっているんですね。
A: そうだと思います。両親は本当に丁寧に作業をするので、その様子が伝わると「この人たちが育てているなら安心だ」と思っていただけるようです。
その結果、リピーターの方も増えてきて、何度も買いに来てくださる方もいるんですよ。
Q:メダカの種類は今どれくらいあるんですか。
A: 今は130種類ほどですね。最初は2種類だけだったんですが、気づけばどんどん増えていきました。
両親がもともと椎茸や山菜、野菜を道の駅に出荷していたので、「メダカも出してみようか」という流れで始めたら、思った以上に売れたんです。それで、少しずつメダカ中心の事業にシフトしていきました。

Q:本格的に事業として取り組むようになったのはいつ頃ですか。
A: メダカ飼育を始めて7年目が終わったところです。最初の1年は飼育だけで、2年目から販売を始めました。その後、メダカの養魚場を広げるために畑だった場所を整備して、たらいを並べられるようにして規模を広げました。3年目からは、道の駅での売れ行きも伸びてきて、「これなら生活できるかもしれない」と思えるようになり、本格的に取り組むようになりました。
Q:前職を早期退職して戻られたと伺いました。
A: はい。本当は定年の63歳まで働く予定だったんですが、59歳で退職して稲武に戻りました。両親が元気なうちに3人で一緒に仕事をしたいという思いが強かったんです。
今は3人で協力しながら事業をしています。
【稲武で事業をする魅力について】
Q:稲武で事業をしていて、どんな魅力を感じますか。
A: 一番は「時間の流れ」が違うことですね。以前は時計ばかり見て生活していましたが、今は太陽の動きや日暮れの時間を感じながら仕事をしています。
日が傾いてきたら「そろそろ終わりにしようか」と自然に思える。体の中のタイマーで動いているような感覚で、とても健康的です。
Q:地域の方との交流も多いんですか。
A: 多いですね。道の駅は9時開店ですが、出展者は8時頃から商品を持ってきて商品を並べます。その準備時間の1時間は、ちょっとした“井戸端会議”みたいなものです。
野菜の出来の話、収穫量、値段の付け方…皆さん本当に頭の回転が速くて、暗算も早い。年齢を感じさせないほど元気なんです。そういう姿を見ると、「この地域は本当に人が強いな」と感じます。
【活用している制度・補助金について】
Q:補助金などは活用されましたか。
A: 商工会の「小規模事業者持続化補助金」を一度利用しました。起業するときはお金の部分が大きいので、補助金を知っているかどうかで本当に変わると思います。
【今後あると嬉しいサポートについて】
Q:今後、行政や地域にあったら嬉しいサポートはありますか。
A: 情報発信の支援ですね。私の場合はインスタで発信できましたが、稲武には野菜を作る人、山に入ってきのこを採る人、養殖をする人など、頑張っている人がたくさんいます。
その一人ひとりの活動を紹介する仕組みがあれば、商品にも価値が生まれるし、地域全体の魅力も高まると思います。
Q:具体的にはどんな発信があると良いと思いますか。
A: 「稲武で頑張る人シリーズ」みたいな形で紹介していくと面白いと思います。作り手のひたむきさや丁寧さが伝われば、安心して買ってもらえるようになるはずです。
稲武の方々は本当に丁寧な仕事をしているので、それを発信することで地域ブランドの価値が上がると思います。
【稲武で事業を考えている人へ】
Q:最後に、稲武で事業を検討している方へメッセージをお願いします。
A: 道の駅の集客力は本当に大きな魅力です。すでに多くの人が訪れる場所があるので、ゼロから集客をする必要がありません。これは事業を始める上で非常に心強いです。
自然も豊かで、星空もとても綺麗です。こうした環境で、温かい地域の人たちと関わりながら事業をしていくのは、とても面白いですよ。
いなぶめだか (取材協力:丸山さん)
