① 事業内容について
私たちは醸造業を行っており、主に日本酒づくりを中心とした事業をしています。
この工房がオープンしたのは2004年です。私は当時、本社工場の方に勤務しており、こちらの工房に来たのはそれから16〜17年ほど前になります。オープン当初の詳しい経緯はすべて把握しているわけではありませんが、当時の社長(現在の会長)が、この場所に工房をつくりました。国道153号線は名古屋方面から飯田方面へ向かう交通量が多い道路で、人の行き来も多いため、「ここで何かやれば多くの人に来てもらえるのではないか」という考えもあったと聞いています。
この工房では、お客様の希望に合わせたオーダーメイドの日本酒づくりが大きな特徴です。例えば、720mlの四合瓶で100本程度といった小ロットで、日本酒を仕込むことができます。
お客様同士のグループで「自分たちだけのお酒を造ろう」と集まって造ることもありますし、退職祝い・還暦祝いなどのお祝いの記念として作る方もいらっしゃいます。完成したお酒を記念品として配られる方も多いです。
お米の持ち込みにも対応しています。お水についても希望があれば持ち込み可能ですが、水質検査が必要になります。検査項目の基準を満たしていない場合は使用できないため、その点は事前に確認しています。水は専用の容器をお渡ししており、18リットルの容器を7〜8本ほど持ってきていただく形です。
また、この工房は酒づくりの人材育成の場としての役割もあります。本社工場は昔ながらの大きな仕込みを行う蔵ですが、こちらでは比較的少量で手作業の工程も多いため、酒づくりの一通りの流れを学ぶことができます。新人の蔵人や経験の浅いスタッフが、実際の酒づくりを通して技術を身につけていく場所でもあります。
オーダーメイド酒では、杜氏(とうじ)が直接お客様とお話しして酒質を決めていきます。甘口・辛口や香りなどのイメージを伺いながら、「こういう酒質が良いのではないか」と相談しながら決めていきます。
今の杜氏は、お酒の好みだけでなく、その人の人柄や想いも感じながら酒づくりをしたいという考えを持っているので、実際にお客様と直接話をすることを大切にしています。直接お話しすることで、お客様のイメージや気持ちがより伝わると感じています。
また、この工房では日本酒の量り売りも行っています。量り売りのお酒はここでしか購入できない限定商品で、持参した瓶に詰めて販売しています。瓶は洗って何度でも使えるので、繰り返し持ってきていただく方も多いです。
量り売りのお酒は生酒なので熱処理をしておらず、冷蔵保存で1週間〜10日ほどで飲んでいただくのが一番美味しい状態です。一般販売のお酒は熱処理をしているため日持ちしますが、生酒は香りや味の変化を楽しめるのが特徴です。
さらに、麹でつくった甘酒も取り扱っています。こちらはアルコールも砂糖も使っていない、麹の自然な甘さだけの甘酒です。冷やして飲んでも美味しく、牛乳で割って飲む方もいらっしゃいます。



② 稲武で事業をする魅力について
仕事をする中で感じているのは、地域の方々がとても協力的だということです。
稲武で何かをやろうとしたときに、地域の方々が協力してくれる雰囲気があると感じています。事業者同士だけでなく、地域全体として協力的な印象があります。
地域のイベントに積極的に参加しているわけではありませんが、酒屋さんなど地域のお店が「蓬莱泉」を扱ってくださっていて、地域を盛り上げてくださっていると感じています。そういった地域との関わりも、この場所ならではの良さだと思います。
④ 今後あると嬉しいサポートについて
個人的に感じているのは、交通機関がもう少し充実すると良いのではないかということです。
名古屋から本社工場よりもこちらの方が近いのですが、それでも「遠い」と感じるお客様は多いです。バスの本数もそれほど多くなく、乗り換えも必要になるため、どうしても車で来るしかないという状況になっています。
日本酒を販売する場所で、試飲などもお出ししているのでどうしても誰かが運転役になって来るというケースが多いです。オーダーメイドの体験などでも同じで、皆さん乗り合わせで来ることが多いです。
もし交通の便がもう少し良くなれば、お客様も来やすくなり、地域全体がもっと活気づくのではないかと感じています。
⑤ 稲武で事業を検討している人へのメッセージ
私は稲武に住んでいるわけではないため、移住について詳しいことをお話しできる立場ではありませんが、仕事で関わる中では、地域の方々が協力的で温かい地域だと感じています。
また、この工房のように「ここでしかできないこと」や「ここでしか買えないもの」を造ることで、わざわざ足を運んでくださるお客様も多いです。
実際に、量り売りの日本酒を求めて来てくださる方も多く、「ここに来ないと買えない」という魅力があると感じています。
地域の特色や魅力を活かしながら事業を行うことで、稲武ならではの取り組みができるのではないかと思います。
📍店舗情報
関谷醸造株式会社 稲武工場(取材協力:安藤さん)
住所/愛知県豊田市黒田町南水別713番地
連絡先/ 0565-83-3601
営業時間/09:30~17:30
定休日/木曜日