小さなお米屋さん―澄んだ水と寒暖差が育む、中当町の米作り

日本屈指の「クルマのまち」として有名な愛知県豊田市。でも、その一番北にある「稲武(いなぶ)地区」へ一歩足を踏み入れると、工業都市のイメージを覆すような、豊かな森と清らかなお水に恵まれたのどかな里山の風景が広がっています。 

今回ご紹介するのは、この稲武地区の「中当(なかとう)町」で、地域の未来を見据えてお米作りに励む農事組合法人「小さなお米屋さん」の後藤さんです。日々、土と水にまっすぐ向き合い、地域と一緒に歩むその姿から、稲武の「農」と「水」の温かい関係が見えてきました。 

子どもの頃の思い出と、頼れる「機械整備」の腕前 

小学生の頃から田んぼのお手伝いをしていて、稲武の豊かな自然はずっと身近な存在だったという後藤さん。 大人になってからは、車や設備の整備といった機械関係のお仕事をされていました。 

その経験が、現在の農業で大きな強みとなっています。トラブルがつきもののトラクターやコンバインといった農業機械のメンテナンスを自らこなし、日々の実直な農作業を支えています。

幻のお米「ミネアサヒ」のふるさと

稲武のお米といえば、知る人ぞ知るブランド米「ミネアサヒ」が有名です。 実は、このミネアサヒが生まれた「愛知県農業総合試験場山間農業研究所」は、後藤さんの田んぼと同じ道沿いに位置しています。

研究所と同じ標高や気候、土壌環境のなかでお米を作っているからこそ、ここで育つお米が美味しくなるのには、確かな理由があります。

しかし、この豊かな環境には中山間地ならではの性質もあります。田んぼに引き込む山水は非常に清らかで、お米の味を良くしてくれる一方で、「冷たすぎる」という課題もあるのです。自然の大きな恵みを受け取りつつ、そうした山の水の特性とも上手に付き合いながら、じっくりと丁寧にお米を育てています。

中当町の未来を守り、「美味しい!」と言ってくれる人へ届けるために 

こうして育てられたお米を届ける「小さなお米屋さん」は、単なる販売目的だけではなく、中当町という集落の未来を守るための大切な取り組みでもあります。 

高齢化が進む地域において、誰かが田んぼを引き継がなければ、、先人たちが守ってきた 美しい景観や豊かな農地は荒れてしまいます。後藤さんたちは、そんな地域の農地を引き受け、美味しいお米という形にして次の世代へバトンを繋ぐ、とても大切な役割を担っています。 

大切に育てたお米は、道の駅「どんぐりの里」に並ぶほか、地元や岡崎市の飲食店などにも届けられています。「お米は精米すると早く劣化してしまうから」と、お客さまに届ける直前に精米をするという、美味しさへのこだわりと優しさも欠かしません。そんな真摯な姿勢が、少しずつファンを増やしています。 

おわりに

中当町の未来を想う後藤さんの情熱、そして「美味しい!」と笑顔で言ってくれるたくさんのリピーターさんたち、お米作りを汗水流して手伝ってくれる従業員のみなさん。まわりのあたたかい人たちに支えられながら、「小さなお米屋さん」のお米は今日も作られています。 

都会の便利さの中では決して味わえない、地域の深い繋がりと清らかなお水が育むお米。稲武には、地域の未来を本気で守ろうとする人たちの熱い想いと、本物の豊かさが今も確かに息づいています。ぜひ一度、愛情たっぷりのお米を味わってみてくださいね。 

📍店舗情報

 小さなお米屋さん

(取材協力:後藤さん)

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地域おこし協力隊とらちゃん

稲武地区の地域おこし協力隊として2026年4月から活動しています! 暮らしの中の小さな喜びをかみしめる日々を送っています。